決算書の読み方をやさしく解説|経営者が知っておきたい利益とお金の見方
決算書・数字の見える化

決算書の読み方をやさしく解説|経営者が知っておきたい利益とお金の見方

【経営数字の見える化シリーズ|第1回】

 

「決算書を見ても、どこを見ればよいのかわからない」

「売上や利益の数字は見ているけれど、会社の状態までは読み取れていない」

「黒字のはずなのに、なぜか手元のお金が増えない」

このように感じたことはありませんか?

決算書は、税金を計算するためだけの書類ではありません。
会社の売上、利益、財産、借入金、お金の流れを確認するための大切な資料です。

この記事では、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」を例に、経営者様が知っておきたい決算書の基本をやさしく解説します。

 

本記事で使用するサンプル企業について

本記事では、決算書の読み方をわかりやすく説明するため、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」のサンプル設定を使用します。

実在する企業の決算数値ではありません。
また、税金や会計処理は、説明しやすいように一部簡略化しています。

このシリーズでは、株式会社あわらベーカリーの数字を使いながら、会社の成長や資金繰りの変化をストーリー形式で見ていきます。

 

株式会社あわらベーカリーとは

株式会社あわらベーカリーは、福井県あわら市にあるパン・焼き菓子の製造販売業を営む架空の会社です。

店舗での販売を中心に、地元のカフェや旅館への卸販売、イベント出店なども行っています。

 

項目 内容
会社名 株式会社あわらベーカリー
会社形態 株式会社
所在地 福井県あわら市
業種 パン・焼き菓子の製造販売業
店舗数 1店舗
従業員 代表1名、正社員2名、パート3名
主な販売先 店舗販売、地元カフェ、旅館、イベント出店
経営課題 売上は伸びているが、利益と現金が残りにくい
今後の目標 利益改善、資金繰り安定、将来的な2店舗目検討

 

株式会社あわらベーカリーは、地元のお客様に支えられ、売上は少しずつ伸びています。

一方で、代表者の青木さんは、次のような悩みを抱えています。

「売上は増えているはずなのに、思ったほど利益が残らない」

「黒字なのに、なぜか手元のお金が増えない」

「新しい設備を入れたけれど、借入金の返済が不安」

「将来的に2店舗目も考えたいが、今の数字で進めてよいのかわからない」

このような悩みは、決算書を見ることで整理できる場合があります。

 

決算書で確認できること

決算書を見ると、会社の状態を数字で確認できます。

たとえば、次のようなことがわかります。

  • 売上は増えているか
  • 利益は出ているか
  • 原価や経費が増えすぎていないか
  • 現金預金はいくらあるか
  • 借入金は増えていないか
  • 在庫や売掛金は増えていないか
  • 手元資金に余裕があるか

会社の状態を確認するためには、売上だけを見るのではなく、利益やお金の流れもあわせて見ることが大切です。

 

決算書には主にどんな書類があるのか

決算書には、いくつかの書類があります。

その中でも、経営者様がまず押さえておきたいのは、次の2つです。

  • 損益計算書
  • 貸借対照表

決算書というと、まず売上や利益に目が行きやすいかもしれません。

しかし、会社のお金の状態や資金繰りを考えるうえでは、貸借対照表もとても大切です。

 

1. 損益計算書で「利益」を見る

 

損益計算書は、会社の売上や利益を見るための書類です。

簡単にいうと、

売上 − 経費 = 利益

を確認する書類です。

たとえば、株式会社あわらベーカリーの場合、パンや焼き菓子の売上があります。
そこから、材料費、人件費、家賃、水道光熱費、広告宣伝費などを差し引いて、最終的に利益が残るかを確認します。

損益計算書を見ると、次のようなことがわかります。

  • 売上が増えているか
  • 原価が高くなっていないか
  • 人件費が増えすぎていないか
  • 本業で利益が出ているか

損益計算書を見ることで、会社が利益を出せているかを確認できます。

ただし、利益が出ているからといって、会社のお金に余裕があるとは限りません。

ここが、決算書を読むうえでとても大切なポイントです。

 

2. 貸借対照表で「会社の体力」と「お金の状態」を見る

 

貸借対照表は、会社の財産や借入金の状況を見るための書類です。

簡単にいうと、

会社に何があり、どこからお金を調達しているか

を確認する書類です。

たとえば、株式会社あわらベーカリーの場合、現金預金、売掛金、在庫、店舗設備、オーブンなどの資産があります。
一方で、買掛金や借入金などの負債もあります。

貸借対照表を見ると、次のようなことがわかります。

  • 現金預金はいくらあるか
  • 売掛金は増えていないか
  • 在庫は増えていないか
  • 借入金は多くなっていないか
  • 純資産は増えているか

損益計算書が「利益を見る書類」だとすれば、貸借対照表は「会社の体力を見る書類」と考えるとわかりやすいです。

利益が出ていても、現金預金が少なかったり、借入金が多かったりする場合があります。

そのため、資金繰りを考えるときは、損益計算書だけでなく貸借対照表も確認することが大切です。

 

売上が増えていても安心とは限らない

会社を見るときに、売上はとても大切な数字です。

ただし、売上だけを見ていても、会社の状態はわかりません。

たとえば、株式会社あわらベーカリーでは、売上が伸びている一方で、原材料費や人件費も増えています。
さらに、新しいオーブンを購入したことで、設備投資や借入金も増えています。

このような場合、売上が伸びていても、次の点を確認する必要があります。

  • 利益率が下がっていないか
  • 借入金の返済に無理がないか
  • 手元資金は十分に残っているか
  • 設備投資の効果が出ているか

売上が増えていることは良いことです。
しかし、売上だけで会社の状態を判断するのは危険です。

 

利益とお金は同じではない

 

ここで大切なのが、利益とお金の違いです。

損益計算書では利益が出ていても、実際の現金が増えているとは限りません。

たとえば、次のような場合です。

理由 内容
売掛金が増える 売上は上がっても、入金が後になることがあります
在庫が増える 商品や材料にお金が変わっている状態です
借入返済がある 返済は費用ではありませんが、現金は出ていきます
設備投資をする 設備の購入で、大きなお金が出ていくことがあります

つまり、黒字だからといって、必ず手元のお金が増えるとは限りません。

株式会社あわらベーカリーでも、売上は伸びていますが、設備投資や借入金の返済により、現金が思ったほど増えていない状態を想定しています。

そのため、会社の状態を見るときは、利益だけでなく、手元のお金の動きも確認することが大切です。

 

資金繰りを考えるなら、貸借対照表も大切

資金繰りというと、毎月の入金や支払いを思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、実際のお金の出入りを確認することは大切です。

しかし、その前提として、貸借対照表を見ることも大切です。

貸借対照表には、資金繰りに関係する数字が多く載っています。

項目 資金繰りとの関係
現金預金 今すぐ使える手元資金
売掛金 売上は立っているが、まだ入金されていないお金
棚卸資産 商品や材料として会社に残っているお金
買掛金 これから支払う必要があるお金
借入金 今後返済していく必要があるお金

たとえば、利益が出ていても、売掛金が増えて入金が遅れていれば、手元のお金は増えにくくなります。

また、在庫が増えすぎると、お金が商品や材料に変わったままになり、現金として使いにくくなります。

さらに、借入金が多い場合は、毎月の返済が資金繰りに影響します。

このように、貸借対照表を見ることで、会社のお金がどこにあるのか、これからどのような支払いがあるのかを確認できます。

 

さらに詳しく見るならキャッシュフロー・資金繰り表

貸借対照表を見ると、会社のお金の状態を確認できます。

さらに、実際のお金の流れを詳しく見るためには、キャッシュフロー計算書や資金繰り表も役立ちます。

キャッシュフロー計算書では、会社のお金の増減を、

  • 本業で生み出したお金
  • 設備投資に使ったお金
  • 借入や返済によるお金

などに分けて確認します。

資金繰り表では、毎月の入金予定や支払い予定を確認します。

たとえば、

  • 売上の入金はいつあるか
  • 仕入代金の支払いはいつか
  • 給料や家賃の支払いはいつか
  • 借入金の返済はいつか

を確認することで、資金不足を早めに把握しやすくなります。

今回の記事では詳しく触れませんが、今後の記事で、キャッシュフローや資金繰り表についても解説していきます。

 

決算書を読むときに経営者がまず見るべき数字

決算書に慣れていない場合、最初からすべての項目を細かく見る必要はありません。

まずは、次の数字を確認するだけでも、会社の状態が見えやすくなります。

 

1. 売上高

 

売上高は、会社がどれだけ商品やサービスを販売したかを表す数字です。

ただし、売上が増えているからといって、それだけで安心はできません。
売上とあわせて、利益や現金も確認する必要があります。

 

2. 売上総利益

 

売上総利益は、売上から売上原価を差し引いた利益です。

ベーカリーであれば、パンや焼き菓子の販売額から、材料費などを差し引いた利益をイメージするとわかりやすいです。

売上総利益を見ることで、商品そのものからどれだけ利益が出ているかを確認できます。

 

3. 営業利益

 

営業利益は、本業でどれだけ利益が出ているかを見る数字です。

株式会社あわらベーカリーであれば、パンや焼き菓子の製造販売という本業で、きちんと利益が出ているかを確認します。

売上が伸びていても、営業利益が伸びていない場合は、原価や人件費、固定費が増えている可能性があります。

 

4. 現金預金

 

現金預金は、会社の手元資金を表す数字です。

利益が出ていても、現金預金が少ないと、仕入れや給料、借入返済などの支払いに不安が出ることがあります。

経営を安定させるためには、利益だけでなく、現金預金の残高も確認することが大切です。

 

5. 借入金

 

借入金は、金融機関などから借りているお金です。

借入金があること自体が悪いわけではありません。
設備投資や事業拡大のために、借入を活用することもあります。

ただし、返済額が会社の資金繰りを圧迫していないかは確認する必要があります。

 

決算書は経営判断のための資料です

決算書は、過去の数字をまとめた資料です。

しかし、過去を振り返るだけでなく、今後の経営判断にも活用できます。

たとえば、次のような判断をするときに役立ちます。

  • 値上げを検討すべきか
  • 人を増やしても大丈夫か
  • 借入をして設備投資をしてよいか
  • 2店舗目を出す余力があるか
  • 資金繰りに問題がないか

感覚だけで判断するのではなく、数字を見ながら考えることで、経営判断の不安を減らすことができます。

 

このシリーズで解説していくこと

このシリーズでは、株式会社あわらベーカリーの3期分の数字を使って、決算書の読み方を順番に解説していきます。

今後は、次のようなテーマを取り上げる予定です。

  • 損益計算書の見方
  • 貸借対照表の見方
  • 3期比較の考え方
  • 売上と利益の違い
  • 利益と現金の違い
  • 粗利益率の見方
  • 人件費率の見方
  • 借入金の見方
  • キャッシュフローの見方
  • 資金繰り表の考え方
  • 月次決算の大切さ

決算書に苦手意識がある方でも、少しずつ読み進められるように、できるだけやさしく解説していきます。

 

 

今回は、決算書の読み方の入口として、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」を例に、経営者様が知っておきたい利益とお金の見方について解説しました。

決算書を見ると、売上や利益だけでなく、会社の財産、借入金、手元資金の状況も確認できます。

特に大切なのは、利益とお金は同じではないという点です。

黒字でも、売掛金や在庫が増えたり、借入金の返済や設備投資があったりすると、手元のお金が増えにくいことがあります。

また、資金繰りを考えるうえでは、損益計算書だけでなく、貸借対照表を確認することも大切です。

決算書は、税金を計算するためだけでなく、会社の状態を知るための大切な資料です。

佐々木美有税理士事務所では、月次決算や数字の見える化を通じて、経営者様が安心して判断できる環境づくりをサポートしています。

あわら市・坂井市を中心に、オンラインでのご相談にも対応しております。
会社の数字や資金繰りに不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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