3期比較の見方を経営者向けに解説!売上・利益・お金の変化を確認しよう
決算書・数字の見える化

3期比較の見方を経営者向けに解説!売上・利益・お金の変化を確認しよう

【経営数字の見える化シリーズ|第4回】

「売上は増えているけれど、会社の状態は本当に良くなっているのだろうか」

「利益は出ているのに、なぜお金が増えていないのだろう」

「今年の決算書だけを見ても、経営が良くなったのか判断できない」

このように感じたことはありませんか?

会社の数字は、1年分だけを見るよりも、過去の数字と並べて比較することで、変化や課題が見えやすくなります。

たとえば、当期の売上高が3,600万円だったとしても、その数字だけでは、前年より増えたのか、利益につながったのか、会社にお金が残ったのかまでは判断できません。

そこで役立つのが、前々期・前期・当期の3年分を並べて見る3期比較です。

この記事では、経営者様が3期比較で確認したい数字と、数字の変化から経営課題を見つける方法を、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」の事例を使ってわかりやすく解説します。

この記事でわかること

・3期比較を行う目的

・経営者が確認したい主な数字

・売上・利益・お金を一緒に見る理由

・数字の変化から経営課題を見つける方法

・具体的な決算書の見方

3期比較では、売上高だけを見るのではなく、営業利益・粗利益率・現金預金・借入金・純資産まであわせて確認することが大切です。

複数の数字を組み合わせて見ることで、会社が本当に成長しているのか、見えにくい課題がないかを確認できます。

1 3期比較とは

3期比較とは、当期だけでなく、前期・前々期を含めた3年分の数字を並べて確認する方法です。

1年分の決算書だけでは、その年の結果はわかっても、数字が良くなっているのか、悪くなっているのか、たまたまなのかまでは判断しにくいことがあります。

たとえば、当期の売上高が3,600万円だった場合、その数字だけでは順調なのかどうかはわかりません。

前々期が2,400万円、前期が3,000万円、当期が3,600万円であれば、売上は毎年増えていることがわかります。

さらに、営業利益や現金預金も一緒に比較することで、売上の増加が利益やお金につながっているかまで確認できます。

3期比較で確認できること

・売上や利益が増えているか

・利益率が下がっていないか

・現金預金が増えているか

・借入金が増えすぎていないか

・会社の財務体質が改善しているか

2 3期比較で確認したい6つの数字

2-1 売上高

売上高は、商品やサービスを販売した金額です。

会社の事業規模や販売状況を確認するための基本的な数字ですが、売上が増えているだけで経営が良くなったとは限りません。

売上が増えたときは、営業利益や粗利益率、現金預金も増えているかをあわせて確認しましょう。

2-2 営業利益

営業利益は、本業でどれだけ利益を出せたかを見る数字です。

営業利益 = 売上総利益 − 販売費及び一般管理費

売上が増えていても、人件費や水道光熱費、広告宣伝費などが大きく増えていれば、営業利益は増えないことがあります。

そのため、売上高と営業利益はセットで確認することが大切です。

2-3 粗利益率

粗利益率は、売上高に対して売上総利益がどれくらい残っているかを見る割合です。

粗利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100

粗利益率が下がっている場合は、仕入価格や材料費の上昇、利益率の低い商品の増加、販売価格の見直し不足などが考えられます。

2-4 現金預金

現金預金は、会社が現在保有しているお金です。

利益が出ていても、売掛金の増加、在庫の増加、設備投資、借入金の返済などによって、現金預金が減る場合があります。

利益とお金は同じではないため、現金預金の変化も必ず確認しましょう。

2-5 借入金

借入金は、金融機関などから借りているお金です。

設備投資や運転資金のために借入金が増えること自体が、必ずしも悪いわけではありません。

大切なのは、借入金が増えた理由と、今後返済できる利益や資金が確保できているかを確認することです。

2-6 純資産

純資産は、会社の資産から負債を差し引いた、会社に蓄積された財産を表します。

利益を毎年積み重ねることで純資産は増え、財務体質も安定しやすくなります。

3 売上・利益・お金を一緒に確認する

3期比較では、売上高だけを見るのではなく、利益とお金の変化をあわせて確認します。

たとえば、売上高が毎年増えていても、営業利益が増えていなければ、原価や経費が増えている可能性があります。

また、営業利益が増えていても、現金預金が減っている場合は、設備投資や借入金の返済、売掛金の増加などが影響している可能性があります。

売上が増えている

商品やサービスの販売は伸びています。

利益が増えている

増えた売上から利益も残っています。

現金預金が増えている

利益が実際のお金として会社に残っています。

この3つがそろって増えていれば、会社は比較的健全に成長していると考えやすくなります。

一方で、どれか1つだけが増えている場合は、その原因をさらに確認する必要があります。

4 決算書の具体例|株式会社あわらベーカリーの場合

ここからは、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」の第3期から第5期までの数字を使って、3期比較をしていきます。

本記事では、決算書の読み方をわかりやすく説明するため、架空の会社「株式会社あわらベーカリー」のサンプル数値を使用します。実在する企業の決算数値ではありません。また、税金や会計処理は、説明しやすいように一部簡略化しています。

4-1 売上と利益の変化

最初に、売上高・営業利益・当期純利益の変化を確認します。

売上高

第3期:24,000,000円

第4期:30,000,000円

第5期:36,000,000円

営業利益

第3期:1,160,000円

第4期:2,000,000円

第5期:2,000,000円

当期純利益

第3期:710,000円

第4期:1,270,000円

第5期:1,190,000円

売上高は、第3期の2,400万円から第5期の3,600万円まで、毎年増えています。

一方で、営業利益は第4期と第5期がどちらも200万円で、売上が増えているのに利益は増えていません。

また、当期純利益は第4期の127万円から、第5期には119万円へ少し減っています。

このことから、売上は増えているものの、原価や人件費、その他の経費も増えたことで、利益が伸びにくくなっている可能性が考えられます。

4-2 粗利益率の変化

次に、売上高に対して売上総利益がどれくらい残っているかを示す粗利益率を確認します。

第3期

60.0%

第4期

58.0%

第5期

56.0%

粗利益率は、60.0%から56.0%へ少しずつ下がっています。

売上総利益の金額自体は増えていますが、売上高に対して利益が残る割合は低下しています。

この場合、原材料費や仕入価格が上がっていないか、利益率の低い商品や販売先が増えていないか、販売価格の見直しが遅れていないかを確認する必要があります。

4-3 現金預金・借入金・純資産の変化

次に、会社のお金と財務体質の変化を確認します。

現金預金

第3期:1,800,000円

第4期:2,500,000円

第5期:2,200,000円

借入金

第3期:5,100,000円

第4期:3,980,000円

第5期:6,130,000円

純資産

第3期:2,600,000円

第4期:3,870,000円

第5期:5,060,000円

純資産は毎年増えており、利益が会社に積み上がっていることがわかります。

一方で、第5期は借入金が増え、現金預金が第4期より減っています。

設備投資などのために借入金が増えた可能性がありますが、借入によって増えた資金が将来の売上や利益につながるかを確認する必要があります。

また、現金預金が減っているため、今後の返済や資金繰りに無理がないかも確認したいところです。

4-4 財務体質を確認する

自己資本比率と借入金月商倍率も確認してみましょう。

自己資本比率

第3期:28.6%

第4期:39.5%

第5期:37.8%

借入金月商倍率

第3期:2.6か月

第4期:1.6か月

第5期:2.0か月

自己資本比率は第3期より改善していますが、第5期は借入金の増加により少し低下しています。

借入金月商倍率も第4期の1.6か月から、第5期は2.0か月へ上がっています。

この2つの数字からも、第5期は設備投資や借入金の増加による影響を注意して確認する必要があると考えられます。

5 3期比較から見える経営課題

株式会社あわらベーカリーの3期比較から、次のことがわかります。

・売上高は毎年増えている

・営業利益は第4期から増えていない

・粗利益率が少しずつ下がっている

・第5期は現金預金が減っている

・第5期は借入金が増えている

・純資産は毎年増えている

売上高だけを見ると、会社は順調に成長しているように見えます。

しかし、粗利益率の低下や借入金の増加、現金預金の減少まで確認すると、売上の増加が十分に利益やお金につながっていない可能性が見えてきます。

つまり、今後は「売上をさらに増やすこと」だけでなく、「増えた売上から利益を残すこと」と「借入金を含めた資金繰りを安定させること」が重要です。

6 まとめ|3期比較で会社の変化を確認しよう

3期比較は、過去3年分の数字を並べ、会社の変化を見る方法です。

確認したい主な数字は、売上高・営業利益・粗利益率・現金預金・借入金・純資産の6つです。

売上だけで判断せず、利益やお金、借入金、純資産まであわせて確認することで、会社の状態が見えやすくなります。

また、数字の変化を確認した後は、その原因を考え、今後の経営に活かすことが大切です。

次回は、売上が増えても利益が増えない理由について詳しく解説します。

佐々木美有税理士事務所では、月次決算や数字の見える化を通じて、経営者様が会社の状態を早めに確認できる環境づくりをサポートしています。

あわら市・坂井市を中心に、オンラインでのご相談にも対応しております。

決算書の見方や会社の数字についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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